vol.34―② 「不幸な私」を手放す?
- 2021年09月06日
- 所長の学び
こんにちは。
前回、イロハに通うAさんの事について簡単に説明させていただきました。
そして今回は、そのAさんの変化のきっかけや思いについて書かせていただこうと思います。
ここはお話を聞かせていただいた金村の言葉になるので、細かな部分まで正確にお伝えできるかは分かりません。
ただ大事な部分はお伝えできると思います。
今回の内容は、金村にとって本当に大きな学びとなりました。
ぜひ多くの方に聞いて頂きたいと思います。
(※あくまで個人の人生の中で起こった事であり、これが正解というわけでは決してありません。誰もが異なる人生を歩んでおり、感性も、起こる出来事も人それぞれ異なることを理解した上でお読みください。)
Aさんから聞かせていただいたことをまとめると、変化の要因として以下の4つのことに集約されると金村は思いました。
❶「自分を愛すること」の意味を知った
❷「不幸な私」を手放せた
❸ 自分の想いを語り続けることが出来た
❹「それでいい」を与え続けてくれる環境があった
それぞれについて解説していきたいと思います。
❶「自分を愛すること」の意味を知った
Aさんの変化の出発点は、ある本を読んだことにありました。
金村から借りた
『フロムに学ぶ愛することの心理学(鈴木晶 著)』
だったそうです。
この本を読んで、やっと「自分を愛すること」の意味を知ったそうです。
つまり、それまでの自分は、「どうやったら良くなるか」「どうやったら健常者に戻れるか」「どうやったら出来ることが増えるのか」とばかり考えていたそうです。
つまりこれって、
「今のこんな自分はダメ!だから変わらなきゃダメ!」
という自分への否定だったんです。
自分のこれがダメ、あれがダメ、ダメ、ダメ、ダメ!
そうやって自分に厳しいからこそ、他の人に対しても、苛立ちが生まれていました。
そして、本を通して人生で初めて「自分を愛すること」の意味を知り、そのやり方を学び、実践していったそうです。
(※自分を愛する大切さやその方法はいつかブログでも話していければと思います)
この本との出会いが彼女の変化のきっかけだったそうです。
❷「不幸な私」を手放せた
Aさんの話で、一番印象的だったのが、
「自分が、病気を必要としていた」
というお話でした。
つまり上手くいかない現実を認めたくないから、そんな自分を正当化させるために病気が必要だったというのです。
「病気なんだから許してよ!」って思っていたし、
こんなに上手くいかないのは「病気のせい」「医者のせい」だと自分以外に理由を探していたそうです。
だから、上手くいかない原因探しばかりをしていたと教えてくださいました。
本当にAさんが苦しかったことは、「できないこと」そのものよりも、
「出来ないことがある自分」を責める気持ちだったそうです。
つまり、出来ない自分に向き合うこと、認めることが怖かったということです。
これも❶に繋がってきますね。
そしてAさんはある日、気付けたそうです。
「不幸な私でいるほうがラクだったんだ。だからいつも不幸な私を手放せずにいたんだ。」って。
そして、自分から「かわいそうな私」「不幸な私」を手放すことに決めたそうです。
つまり「こんな自分でイイじゃん!」て。
しんどい自分でイイ!
出来ない自分がいてもイイ!
失敗してもイイ! 間違ってもイイ! 傷ついてもイイ!
うん。いいんだ、いいんだ。と。
つまり、
「ダメ、ダメ、ダメ → イイ、イイ、イイ」
に変わったということです。
❸ 自分の想いを語り続けることができた
Aさん曰く、この「自分の想いを語り続けることが出来たこと」がとても大きかったそうです。
イロハのスタッフにいっぱいいっぱい自分の想いや考えを語ってきたというのです。
確かに、思い返せば帰りの送迎車の中で「話を聞いて欲しい」と度々その時の想いを語ってくれていました。
他のスタッフらともよく語り合っている様子を見かけていましたし、今でも語り合っているようです。
そして、時には話せなかった胸の内をメールにして送ってくださったりもしていたし、「朝の会」で自分の想いをメンバーらに話すことも度々ありました。
こういった自分の「現在の想いや考え」を自分の口で吐き出し続けていたこと、それが自分の考えの変化につながったというのです。モヤモヤしていたことも誰かと語り合う中で“整理”できたり大きな“気付き”に繋がったりしたそうです。
❹ 「それでいい」を与え続けてくれる環境があった
Aさんの言葉を書きます。
「イロハの人たちがずっと“それでいい”を雨のように浴びせ続けて来てくれたことが良かった。」
「雨のように浴びせる」が面白い表現だなと思います。
自分を愛することの大切さを知っても、Aさんはやっぱりすぐには自己否定が抜けなかったそうです。
今でも自己否定で苦しむこともあるようです。
でもそんなAさんを支えていたのは、イロハの人たち(スタッフもメンバーも)が常に浴びせてくれる“それでいい”という言葉だったそうなんです。
どんな自分でも“それでいい”と言ってくれる。
だからこそ安心して自分の想いを語れたし、ダメな自分も「それでいい」と自分で自分を許せたそうなんです。
これも❶に繋がりますね。
自分を責めてしまうことすらも「それでいい」と思える。
それは、Aさんにとって大きな安心となっていたようです。
いかがでしょうか?
本当はもっともっと素敵で深い話をしてくださいました。
今回は「金村の学び」として金村の理解としてまとめさせていただきました。
本当はご本人の言葉でたくさん皆さんに話して欲しいと思います。
最後に、
彼女が話してくれた例え話(比喩表現)がとってもおもしろく、かつ分かりやすいものだったのでご紹介して終わりにしたいと思います。
『自分は、底に穴の空いたボートに乗っているようなものだった。このまま沈んでいいって思って、穴を自分で塞ごうともしていなかった。
でもその船にイロハのスタッフが乗って来た。
その人は、ボートの穴を塞ごうとせず、そして「塞ぎなさい」と言うわけでもなく、ずっと流れ込んでくる水をかきだしてくれていた。
ボートが沈まない程度で。
自分はもう沈んでもいいって思ってるのに、その人は「それでいい」って言いながら、水だけをひたすらかきだしてくれていた。
そんな時間が続いたある時、自分で穴を塞ごうかなと思えてきた。
いつしか、自分で穴を塞ぐようになっていた。』
とのことです。
そしてもし、イロハのスタッフがその船底の穴を塞ごうとしていたらどうなっていたんですか?
とお尋ねすると…
『自分で別の所に穴を空けていたでしょうね。だって穴を塞がれたくなかったんだから。何で塞ぐの?!って思って別の穴を空けていたと思う。』
なんかAさんの心の様子が伝わってくると思いませんか?
第3回は、これらのAさんのお話を聴いての金村の学びをお話しさせていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
イロハニトイロ所長
金村栄治